研究概要 |
モデルマウスの乾癬病変では、IL-23,IL-17A,IL-17F,IL-22,S100A8,9β-defensin3,4のmRNAの高発現を認め、この結果はヒトの乾癬病変のプロファイルと酷似していた。抗IL-12/23p40抗体、抗IL-23p19抗体は、モデルマウスにおける乾癬病変発症をほぼ完全に抑制したが、抗IL-17A抗体のは中等度の抑制効果を示した。抗IL-12/23p40抗体、抗IL-23p19抗体投与により抑制された病変ではIL-23/Th17に関与したサイトカインおよび抗菌ペプチドの発現は抑制されたが、抗IL-17A抗体投与病変ではIL-23/Th17に関与したサイトカインの発現の減少を認めなかった。よって、このマウスの皮疹形成にはIL-23が最も重要なサイトカインであることが示唆された。また、IL-17A抗体投与病変では、角層内の好中球集簇病変を形成が減少していること、培養表皮細胞にIL-17刺激を加えると好中球遊走などに関わるケモカイン分泌を促進することを示し、IL-17は乾癬病変において好中球遊走に関与することを示した。さらにIL-23をモデルマウスの耳介投与し乾癬病変を誘導したとき、皮膚所属リンパ節においてIL-22を産生するNK細胞(NK-22)が誘導された。このように、このマウスモデルを利用して、乾癬の病態に関わるサイトカインヒエラルキーを明確にできたことにより、乾癬治療のためバイオロジックの位置付けや作用機序を明らかにした。
|