研究課題
平成23年度は、平成22年度に報告した抗IL-23p19抗体の精度に問題があることがわかったため、新しい抗IL-23p19抗体を入手し、これを乾癬モデルマウス(K5.Stat3C transgrnic mice)投与した。乾癬病変発症に対して抗IL-23p19抗体は、抗IL-12/23p40抗体と同等の抑制効果を示し、改めて乾癬病変発症においてTh17が重要な役割を持つことが明らかにすることができた。また、抗IL-23p19抗体投与群では、皮膚病変部のサイトカインおよび抗菌ペプチドの発現も抗IL-12/23p40抗体投与群と同等に抑制することを確認した。以上の結果を含めてJ Immnuol 186:4481-9,2011.に報告することができた。本研究の概要は、各種バイオロジックスの投与、あるいはサイトカイン遺伝子ノックアウトマウスとの掛け合わせによって、このマウスの皮疹形成にIL-23が最も重要なサイトカインであることがわかった。またTh17の産生するIL-17は、角化細胞を刺激し好中球遊走などに関わるケモカイン分泌を促進する一方、IL-22は角化細胞を増殖させた。さらにIL-23は、Th17およびIL-22を産生するNK細胞(NK-22)の誘導を介して乾癬様皮疹の形成に関わることを明らかにした。このように、このマウスモデルを利用して、乾癬の病態に関わるサイトカインヒエラルキーを明確にできたことにより、乾癬治療のためバイオロジックの位置付けや作用機序の解明に大きな貢献ができた。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
J Dermatol
巻: 39 ページ: 219-224
J Immnuol
巻: 186 ページ: 4481-4489