研究課題/領域番号 |
21591471
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
池澤 善郎 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (90046128)
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研究分担者 |
池澤 優子 横浜市立大学, 市民総合医療センター, 助教 (80457879)
山口 由衣 横浜市立大学, 医学部, 助教 (60585264)
國見 裕子 横浜市立大学, 附属病院, 助手 (10567605)
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キーワード | 皮膚バリアー機能異常 / ドライスキン / 角層IL-18 / 皮膚黄色ブドウ球菌叢 / 内因性アトピー性皮膚炎 / 掻痒性乾癬とSemaphorin 3A / アレルギー鼻炎と痒み / 新規アレルギー鼻炎治療薬としてのSemaphorin 3A |
研究概要 |
第1に、これまでの研究からアトピー性皮膚炎(AD)から採取された角層蛋白質において検出されたNGF値はADのバイオマーカーとして有用であることを既に報告しているが、今年度は、super Th1細胞のinducerとされるIL-18の角層蛋白質中の濃度がNGFよりもっと高いレベルで検出され、ADの症状指数として知られるSCORADに相関し、血清TARC値、末梢好酸球数、血清総IgE値などの通常の臨床検査値ともよく相関した。これらの検査値の中で、特に、ADの重症度や再燃・悪化をよく反映するとされる血清TARC値により顕著な相関が認められた。さらに皮表黄色ブドウ球菌叢と関係では、血清総IgE値が相対的に低値なintrinsic ADに該当すると思われる患者においては、皮表黄色ブドウ球菌定着群のほうが非定着群より角層IL-18値の有意な上昇がみられたが、一方、血清総IgE値が相対的に高値なextrinsic ADに該当すると思われる患者においては、角層IL-18値の有意な上昇はみられず、角層IL-18値のバイオマーカーとして有用性を明らかにした(Inoue Y et al:BrJD,164(3):560-567,2010)。第2に、これまでの検討から反発性神経軸索ガイダンス分子のSemaphorin3A(Sema3A)がADのモデルマウスの皮疹に対して皮内注射することで掻爬行動を抑制して肉眼的にも組織学的にも改善し、神経線維の表皮内侵入を抑えることを明らかにしたので、今年度は、痒みの強い尋常乾癬病変においても神経線維の分枝・伸張とSema3Aの発現が逆相関の関係にあることを免疫染色とPCRによるその遺伝子発現の予備的研究により明らかにした。第3に、鼻水を伴う痒いアレルギー性鼻炎の粘膜下層でNGFが発現が増加して鼻腔洗浄液中でNGFの量が増加しNGFの産生に好酸球が関与することが報告されていることから、アレルギー性鼻炎に対するSemaphorin 3A(Sema3A)の新規治療薬として開発のために、今年度は、鼻粘膜上皮におけるSema3Aの発現低下とNGFの発現増強を免疫組織学的染色とPCRで明らかにし、さらに予備的研究から鼻粘膜に対するSema3Aの直接投与(点鼻)による改善効果を明らかにした。
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