研究課題
我々は表皮におけるRas-Raf-MAPKシグナルの働きを調べるためにタモキシフェン依存性に表皮にRaf蛋白が発現するマウス(K14:Raf-ERマウス)を作成した。このマウスの背部にタモキシフェンを塗布し表皮特異的にRafを発現することにより乾癬類似の表皮肥厚と炎症細胞の浸潤が起こることが確認されている。本年度は同マウスとIL-17Aノックアウトマウスをかけあわせ、IL-17がない状態でRafによる表皮肥厚が軽減されるかどうか調べた。表皮にRafのみ発現するマウスと表皮にRafを発現するIL-17Aノックアウトマウスそれぞれ9匹ずつを用いて表皮の肥厚や放出されるサイトカインを観察したが、IL-17をノックアウトしたマウスの表皮においてもRaf誘導性の表皮の肥厚、放出されるサイトカインに差を認めなかった。次にRafと共に乾癬に関係しているとされているStat3との関係を調べた。Stat3のインヒビターとされるSTA21を外用しながらKl4:Raf-ERマウスの表皮にタモキシフェンによりRafを誘導すると、その表皮肥厚が部分的に減弱したので、次に表皮特異的Rafマウスと表皮特異的Stat3ノックアウトマウス(K5-Cre:stat3 f/fマウス)をかけあわせて表皮のみStat3が欠損しているタモキシフェン依存性の表皮特異的Rafマウスを作成し、Stat3が存在しないときのRafによる表皮肥厚を検討した。その結果Stat3が存在しないとタモキシフェン誘導性のRafによる表皮肥厚が減弱することが確認された。
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