研究概要 |
副腎摘出マウスを用いて、Novelty stress負荷実験を行い、その海馬の遺伝子発現量の測定、行動測定および血中コルチコステロンの測定を行い、偽手術マウスの測定結果と比較検討した。この結果にもとづいて、ストレス負荷によって上昇する血中コルチコステロンが、海馬の遺伝子発現量や行動に、如何なる影響を受けるかについての検討を行った。特に、本年度の研究においては、DNAマイクロアレイ法(Aginent Expression Array)を用いて、コルチコステロンによって遺伝子発現量が変化する遺伝子とコルチコステロンとは無関係に遺伝子発現量が変化する遺伝子について,先行研究でその情報を得ている以外遺伝子についてもスクリーニングを行い、これら候補遺伝子については、さらに、多数個体のサンプルを用いて、RT-PCR法を用いた定量実験を行い、統計学的解析を行った。ストレスによるコルチコが少なくとも、6種類(IGF2, Zic1, Msx1, Msx2, Clic6, Otx2)あることが、DNAアレイによる研究結果からわかった。これを、定量的RT-PCR法によって、確認したところ、Msx1は副腎摘出マウスでは、偽手術マウスで見られた海馬における遺伝子発現量の増加が起きないことがわかった。また、Egr2は、副腎摘出術の影響を受けることなく、その発現量がストレスによって、増加することが新たにわかった。このMsx1とEgr2の結果は、統計学的解析によって支持された。
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