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2011 年度 研究成果報告書

非ステロイド性抗炎症薬の神経保護と神経毒性に関する脳代謝画像研究

研究課題

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研究課題/領域番号 21591482
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 精神神経科学
研究機関福井大学

研究代表者

村田 哲人  福井大学, 医学部, 准教授 (80200294)

連携研究者 藤林 康久  放射線医学総合研究所, 分子イメージングセンター, センター長 (50165411)
研究期間 (年度) 2009 – 2011
キーワード脳スライス / NSAIDs / グルコース代謝 / ミトコンドリア機能 / ポジトロン / 神経毒性 / 神経保護 / Reye脳症
研究概要

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)はその一般的な薬理作用(抗炎症・鎮痛・解熱)に加え、近年ではその細胞傷害性の副作用(Reye脳症、消化器系潰瘍など)や神経保護効果(神経変性疾患や気分障害などに対して)が注目されてきている。本研究では、ラット新鮮脳切片にdynamic positron autoradiography technique(dPAT)を適用して、グルコース代謝のトレーサーである[^<18> F] 2-fluoro-2-deoxy-D-glucose([^<18> F] FDG)の取り込み実験を行い、様々なNSAIDsの局所脳グルコース代謝率(CMRglc)に及ぼす影響を定量評価した。古典的な非選択的NSAIDs(salicylateとindomethacin)では、調べた全ての脳部位で濃度依存的(100μM~1mMの範囲で)にCMRglcが亢進し、選択的COX-2阻害薬(celecoxibとrofecoxib)では全ての脳部位でそれよりもはるかに低い濃度域(3~100μMの範囲で)でCMRglcが亢進した。これらのどちらのタイプのNSAIDsによるCMRglcの増加も、いずれも細胞内カルシウムのキレート剤であるBAPTA-AMによりほぼ完全に抑制され、COX選択性に依存しない細胞内カルシウム上昇の関与が示唆された。また、様々なNSAIDsによる脳のミトコンドリア機能に及ぼす影響についても検討した。その結果、非選択的NSAIDsではCMRglcの亢進を認めたのとほぼ同等の濃度で、ミトコンドリア機能が対照群に比べて有意に低下したが、選択的COX-2阻害薬ではミトコンドリア機能の有意な低下が認められなかった。以上より、非選択的NSAIDs特異的に(選択的COX-2阻害薬では観察されない)、細胞内カルシウム上昇を介したミトコンドリアの好気的糖代謝の障害(代償的な嫌気的糖代謝の亢進を伴う)が起こり、これらの脳内代謝活動の変化が、NSAIDsの神経毒性および細胞傷害性の副作用(Reye脳症など)の発症に関与する可能性が示唆された。今後さらに、NSAIDsの神経毒性・保護のメカニズムを掘り下げ、副作用の少ないより優れた新規NSAIDs開発の糸口を探ることは、医療や社会への有用性が高く最重要な課題と考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] 神経保護効果に基づいた気分安定薬の作用メカニズム2011

    • 著者名/発表者名
      小俣直人、村田哲人、和田有司
    • 雑誌名

      臨床神経薬理

      巻: 14巻9号 ページ: 1455-1462

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effects of antidepressants and mood stabilizers on serum levels of adiponectin

    • 著者名/発表者名
      Omata N, Murata T, Narita K, Maruoka N, Mitsuya H, Mita K, Nishimoto T, Sato M, Wada Y
    • 雑誌名

      Neuro Endocrinol Lett

      巻: (印刷中)

    • 査読あり

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公開日: 2013-07-31  

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