徐波睡眠は脳・身体の疲労回復・機能維持において重要な役割を果たしており、近年、耐糖能維持にも重要であることが判明した。 新しい睡眠薬や、開発中の睡眠薬は、徐波睡眠を維持・増加させるため、これを減少させる従来の睡眠薬よりも自然な催眠作用を持つとされているが、エビデンスがない。 本研究の目的は、薬物による睡眠徐波減少・増加の違いが、認知機能・耐糖能評価に与える影響を明らかにすることである。 平成21年度はパイロット研究として、研究分担者と倫理面、実験の運用面について検討し、問題点の抽出、実験プロトコルのブラッシュアップを行った。 1. 倫理面:健常者に薬剤を投与する実験であり、臨床治験レベルの倫理的配慮をおこなうこととした。補償については、大学全体の補償体制確立を待っている段階。 2. 終夜睡眠ポリグラフと携帯機器による活動量測定:北里大学東病院治験管理センターで行われた睡眠薬の第1相治験で生じた問題につき検討し、必要な人件費・消耗品の算定をおこない、運用テストにより問題点が解決したことを確認した。 3. 認知機能テストバッテリ:長時間の実験となるため験者が交代しても評価に変動が出ないよう、反応時間の精密測定が必要な検査、評価項目が多数にわたる検査については、パソコンより課題を提示し、自動的にデータを収集することとし、テストプログラムを開発した。 4. 自律神経機能評価解析:心拍変動を用いた自律神経機能評価を追加することとし、機器のテスト、解析法の開発を行った。
|