研究課題
研究の目的:平成22年度までにアルツハイマー病(AD)の早期診断を主題目とし、構造的MRIによる脳萎縮の測定、脳脊髄液中タウ、脳血流SPECT、アミロイドPETによる脳内アミロイド沈着量の測定を評価した。我々はMCI,AD発症時では既に脳内アミロイド沈着はAD発症の相当以前から潜行性に進行し、発症以降では脳内アミロイド沈着の程度と脳萎縮は必ずしも有意に相関しないことを示した。Alzheimer's Disease Neuroimaging Initlative(ADNI)等の大規模検討でもほぼ同じ結果が示され、新たに"発症前AD"の概念が提唱され、PCADを標的とした診断、予防が重要視されている。研究実施計画:平成23年度以降はADの発症前診断方法についても検討を開始し、脳ドック等を受診する健常高齢者の対象を増加し、構造的MRI撮像や脳脊髄液タウ、アミロイドの変化、血漿中AD関連マーカーの解析を開始した。血漿中因子としては、Aβ42.40、IL-6等の炎症性サイトカイン、酸化ストレスマーカでADとの関連も示唆されている酸化ストレスマーカであるアクロレインの測定等を認知機能評価と並行して経時的に実施し、簡便な発症前A関連スクリーニングマーカーを探索している。意義、重要性:認知症症状が出現してからでは、ADの病態は既に完成し、進行抑制、改善が容易ではない。認知症症状が出現する以前の発症前AD段階の診断と把握が重要である。すなわち、ADの発症前診断可能な、簡易で非侵襲的バイオマーカーを用いたスクリーニング法を確立し、AD予備軍候補を早期に抽出早期介入することはAD治療戦略としてより有用であると考えられる。
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Neurosci Lett
巻: (2012 Mar 21.[Epub ahead of print])(未定)(印刷中)
Int J Alzheimers Dis
巻: 842475
doi:10.4061/2011/842475