研究課題
今年度は、臨床研究として、当科外来通院中のアルツハイマー型認知症患者50名以上の協力をえて、神経心理検査と心電図の心拍変動測定(HRV)を測定した。各種神経心理検査によって測定される中枢神経機能と末梢の自律神経機能を反映するHRVとの関連を検討している。予備的な解析では、抑うつ度の指標であるGeriatric Depression Scale-15(GDS-15)の得点とHRVの間に関連がある可能性が示唆された。すなわちアルツハイマー型認知症患者においては、抑うつと自律神経機能の低下に関連がある可能性が示された。さらに、症例を増やし、神経心理検査の結果とHRVの関連や、中枢神経系のコリナージック神経系(CN)の活性化によりアルツハイマー型認知症の治療効果のある塩酸ドネペジルの内服によるHRVの変化や塩酸ドネペジルの効果とHRVとの関連などを順次解析していく予定である。また、動物実験としては、昨年度から継続しCNのimmunotoxinである192IgG-saporin (saporin)をラットの脳室に投与することによる中枢神経系CNの障害モデルを確立し、このモデルにおけるHRVの測定を行い、CNの障害程度とHRVの関係について解析を進めている。脳室内へのneostigmineの投与によるCNの活性化によっておこる交感神経の活性化をHRVによって検出できることは既に確認できており、今後はsaporinによるCN障害モデルを用いて、HRV測定によるCN障害の推定の検討を行っていく予定である。
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