研究課題
平成20年度は、統合失調症患者20名、健常被験者20名に対して、64チャンネル全頭型脳磁計を用いて、様々な認知課題を呈示し、誘発される脳磁場活動を測定した。ガンマ帯域活動(γBA)の解析では、FFT、ウェーブレット、ICAといった基本的な時系列解析を用いてγBAを抽出し、空間フィルタ法を用いて活動源の推定を行った。その結果、P300ではγBAが健常被験者においても誘発されず、γBAをみるための課題としては適切ではないことが判明した。この結果はClinical Neurophysiology誌(2008年インパクトファクター値:2.972)に受理され、すでに出版されている。また最も効率よくγBAを誘発し、健常被験者群と統合失調症群との間でγBAの差を見出しうる課題として、ワーキングメモリ課題の一種であるSternberg's Memory Taskが最適であることが判明した。また統合失調症群60名と健常者群60名に対して、5種類の前頭葉機能課題を施行中に近赤外分光法による前頭前野の酸素化ヘモグロビン濃度変化を測定し、統合失調症と健常者と判別可能かどうか判別分析をおこなった。課題成績と酸素化ヘモグロビン濃度変化の両者を従属変数とした場合、第1群では88%、第2群では75%の正判別率を得た。その際、判別に有用な変数は、言語流暢性課題成績(文字バージョン、カテゴリーバージョン)、ハノイの塔課題成績、言語流暢性課題文字バージョンの酸素化ヘモグロビン濃度変化の4つであった。このことは統合失調症と健常者の判別には認知課題成績と近赤外分光法による血流変化の両者を考慮に入れた方がより再現性の高い結果が得られることを示唆している。この結果はSchizophrenia Research誌(2008年インパクトファクター値:4.174)に受理され、すでに出版されている。
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