Brief Assessment of Cognition of Schizophrenia(BACS)を用いて、症状の安定した慢性期統合失調症の認知機能を評価し、同時に臨床症状、錐体外路症状、QOLなどを、陽性陰性評価尺度(PANSS)、カルガリ統合失調症抑うつ評価尺度(CDSS)、自己評価式QOL評価尺度SQLSおよび観察者評価式のQLS、GAF、錐体外路症状評価尺度などを用いて測定した。BACSの総合評価点ならびに注意機能評価点が陰性症状と相関することが明らかとなった。また自己記入式の主観的QOLは認知機能と関連が薄いが、観察者評価による客観的QOLは認知機能との関連を認めた。また、認知機能は錐体外路症状と逆相関していたことからみて、過量の投薬によって2次的に増悪する可能性が示唆された。また、我々の以前の結果と合致して、主観的QOLは抑うつ症状の影響を強くうけ、客観的QOLは陰性症状の影響を強く受けることが示された。これらの結果を学会発表し、現在論文を作成している。 平行して勧めている画像研究では、高磁場MRSを用いて慢性期統合失調症の前部帯状回と左基底核におけるGABAを測定した。健常対照群と有意差はなかったが、抗精神病薬や抗コリン薬服用量とGABA濃度との間に関連を見出した。MRS測定が精神薬理学的にも応用できることが示唆された。学会発表および論文発表した。今後、認知機能や臨床症状との関連を解析してゆく。
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