研究概要 |
双極スペクトラムは、双極I型障害と単極性うつ病を橋渡しする概念である。Diagnostic and Statistical Manual for Mental Disorders, Fourth Edition(DSM-IV)においては、双極I型障害と双極II型障害が定義されているものの、双極スペクトラムに関しては明確には記載されていない。このような葛藤状況を整理するために、健常者や気分障害の患者を対象とする研究を行った。その結果から示唆されることは、双極スペクトラムと単極性うつ病を境するものは気質であり、その気質の生物学的基盤として光線被曝量、中枢セロトニン機能、睡眠パターンが挙げられるということである。このような差異が薬物反応性の違いに結び付き、双極スペクトラムが気分安定薬に反応し、単極性うつ病が抗うつ薬に反応するという事態を生じている可能性が示唆された。
|