研究課題
衝動性についての調査を継続している。これまで、健常者と各種精神疾患について、BIS-11(Barratt Impulsivity Scale)を用いて、調査をした。衝動性は、これまでの病変研究、画像研究で前頭葉と関連が強いことがわかっている。衝動性は、健常者にでも、ばらつきが大きい。そこで、前頭部の血流反応を測定できるNIRS(Near_Infrared Spectroscopy)を用いて、衝動性と前頭部の血流反応について調査した。方法:健常者50人(男性27人/女性23人平均年齢26.5±2.6歳平均学歴18.18±0.77年)を対象とした。精神科既往歴、常用薬のある者は除外した。衝動性の評価BIS-11を用い、total score以外に、下位項目であるAttentional(注意)Motor(運動)、non-planning(無計画)について調査した。脳血流反応は、言語流暢性課題施行中の血流反応NIRSで測定した。常用薬のある者、精神疾患の既往のある者などは除外した。BIS-11(totalとattentional)と前頭部の血流反応は、有意な負の相関を示した。特に、上前頭回においては、強い相関を示した。側頭部では、有意な相関は認められなかった。つまり、衝動性が高い人は、脳血流反応が少ないことがわかった。これまでの画像研究でも、前頭部と衝動性の関連についての報告がある。これによって、前頭部血流反応は衝動性の生物的指標になる可能性が示唆された。衝動性は自殺との関連も報告されており、自殺予防の観点からも重要な所見と考えられる。
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