H22年度は、統合失調患者群および健常対照群におけるMismatch Negativity(MMN)の検討をおこなった。MRIのメカニカルノイズの問題を克服するために、MRI撮像のタイミングと聴覚刺激を完全に同期させ、rare刺激にもfrequent刺激にも同様のタイミングでメカニカルノイズが同期させ、引き算波形においてメカニカルノイズによる成分が相殺されるようにデザインをこころみた。その結果撮像と刺激の完全同期はfMRIにおいてより正確なhemo-dynamicsを得られ、条件間のサブトラクションの効果をより精密にすることができた。メカニカルノイズによるERP波形成分およびFrequent刺激に対するERP成分の抽出は不充分であった。Rare-Frequent引き算波形においてメカニカルノイズによる成分を相殺するという当初の目的は十分に達成できなかった。撮像と刺激の完全同期はfMRIにおいてより正確なhemo-dynamicsを得られ、条件間のサブトラクションの効果をより精密にすることができた。さらにMRIのスキャンノイズの暴露の中においても、omissionやpartial omissionに対してBOLD活性が得られたことは、この活性はrare刺激の音響エネルギーの依るものではなく、脳内のMMN発生機構そのものにより惹起されたものと考えられた。
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