研究概要 |
H23年度は、統合失調患者群および健常対照群におけるMismatch Negativity(MMN)の検討をおこなった。統合失調症の認知機能障害を反映するMMNをfMRI脳波同時計測し,更に拡散テンソルを用いた画像的評価を行った。統合失調症群および対照群においてomission MMNを測定した。画像データはtract-based spatial statisticsを行い,患者群において対照群に比しfractional anisotropy(FA)が有意に低下している領域を検出した。各領域と関連する白質線維路に対してはtract-specific analysisを併用した。fMRIはSPMO5上で解析した後Region of interest(ROI)解析用ソフトウェアMarsBaRを用いて各ROIのblood oxygenation level dependent signals(BOLD)信号を算出した。 結果として、fMRIではSPM解析・ROI解析いずれにおいてもMMN発生源とされる領域(STGおよびMTG)において有意差を認め、従来の報告を支持した。MMN課題下のERP・fMRI・DTI同時計測において各計測modalityデータ間に有意な相関を得た。fMR1におけるBOLD活性は脳波におけるMMNの等価物として評価してよいものと考えられた。特に左ACCのFA値とERP・fMRIデータに有意な相関を得た。SPM上でのcorrelation analysisにおいても左ACCのFA値は、Hesch1回・MTG内においてBOLD活性と有意に相関していた。MMN異常に反映される統合失調症の認知機能障害はACCおよび側頭葉の機能障害と関連を持つ可能性が示唆された。特に左側のACCおよび側頭葉の機能異常が統合失調症のMMN障害に特異的な関連を持つ可能性が示唆された。
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