系統講義を終え臨床実地教育のため精神科臨床実習を行う第5-6学年の医学生に自殺予防への理解と具体的な介入スキルを身につけるために、効果的な教材の開発と研修の試験的実施をおこなった。 準備段階として、必要な本邦における自殺の実態について、厚労省・警察庁そしてNPO団体からの資料を収集した。「自殺予防学」として医学生にとって最低限必要な疫学的、心理・社会学的、医学的知識について、「現状」「自殺者」「原因」「予兆」「予防」に分類し、計50の下位項目とした。また、医学生に小講義や討論の前に「自殺企図」に対する率直な意見を求めるためのアンケートを4項目にまとめた。内容は、「完遂者へのイメージ」「未遂を繰り返すものへのイメージ」「身近なものの自殺の告白への対応」「未遂手段で多い向精神薬について」とした。さらに、3-4人ごとに行なう小講義教材をパワーポイント30-40枚にまとめた。 試験的実施の前に、知識を求める50項目内容について、知識が偏っていないか、謝っていないか、難易度は適当かを確認するために第4学年の医学生約70名を対象に「YES」「NO」形式で答えてもらい、内容を検討して修正を行なった。試験的実施として、5学年3名ずつ計6名を対象に、知識の確認とアンケートを実施し、小講義をパソコンにて行なった。その後、「効果的な自殺予防対策」についてグループ討論と意見を求めた。 今後、研究全体の流れを確認し対象ケースを増やすと共に、講義内容、自殺予防対策のための効果的なグループ討論とロールプレイ進め方、学習教材について、医学生のレベルにあった質と量であるかを総合評価し改訂を加えていく予定である。
|