研究概要 |
1.マウスモデルの入手:Taconic社からAPP Tg2576(Aβ蓄積),タウP301L(tau蓄積),APP-Tg2576/タウP301L(Aβ・タウ二重蓄積)の3系統のトランスジェニックマウスと,これらマウスの交配権を購入した.また共同研究者の東京大学西原教授が作製したプログラニュリンノックアウトマウス(GRN(-/-))を委託先の理化学研究所から入手した.さらに所内共同研究により進めているTDP-43モデルマウス作製の過程で得られたTDP-43-G298Sトランスジェニックマウスを加え,全5系統のマウスの飼育を開始した. 2.マウスの交配:上記5系統のうち交配実験の中心となるべきGRN(-/-)は繁殖能が低く,系統維持と繁殖に若干の困難があり,繁殖および他系統との交配に期間を要することが明らかになった.しかし,これまでにAPP-Tg2576/タウP301L/GRN(+/-),TDP-43-G298S/GRN(+/-),APP/GRN(+/-),タウP301L/GRN(+/-)の4系統の2/3重遺伝子改変系統(雌雄)を得ることができ,飼育中である(加齢待ち:現在最高齢のマウスが3~4ヶ月齢).ただしTDP-43-G298SはまだTDP-43異常蓄積を確認していないため,今後,新たに作製するTDP-43系統に切り替える可能性がある. 3.ヒト剖検脳の解析:Aβ蓄積陰性の純粋型レビー小体型認知症の1例でTDP-43異常蓄積を認めたが,この症例ではαシヌクレインに加えてタウの蓄積も伴っていた.また家族性ブリティッシュ認知症(ABriアミロイドとタウが蓄積)においてTDP-43の共蓄積を認めた.紀伊半島やグアムのALS/PDCがタウとTDP-43の二重蓄積疾患であることと併せ,TDP-43に関するプロテイノパチー重複におけるタウの役割が強く示唆された.
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