研究概要 |
遺伝子改変マウスの交配 APP Tg2576,tau(P301L),APP-Tg2576/tau(P301L),TDP-43(G298S)の各トランスジェニック(Tg)マウス,およびグラニュリン(GRN)ノックアウト(KO)マウスの系統維持と繁殖を行い,相互にかけあわせて加齢させる実験を進めている.APP-TgあるいはAPP/tau-TgとGRN-KOとを交配して重複遺伝子異常を持つマウスを選別し加齢を待ったが,単独TgにおいてAβやtauの異常蓄積が生じるよりはるかに若い月齢での死亡が相次いだため解析を行うに至っていない.TDP-43(G298S)-Tgマウスは後肢麻痺という症状は発現するもののTDP-43異常蓄積がきわめて乏しい(皆無ではない)系統であるが,ヒト家族性FTLD-TDPの遺伝的異常であるGRN-KOをかけあわせても病変の加速は認められなかった.GRN-KOとtau(P301L)との交配系(tau(P301L)GRN(+/-))もヒト変性疾患に相当する加齢期間を得るのが難しく,現状では若齢マウスのみの解析が可能であるが,tau(P301L)単独マウスよりも脳可溶化区分の異常リン酸化tauが増加する傾向が見られた ヒト剖検脳の解析 本研究を立案した後,tau陰性TDP-43陰性前頭側頭葉変性症(FTLD)に異常蓄積する蛋白質としてFUSが同定された.そこで当研究室に所蔵されている全66例のFTLD剖検脳を再解析したところ,9例のFUS陽性FTLDを確認した.FUSはTDP-43と類似のRNA結合蛋白質であり,やはり家族性ALSの原因遺伝子となるなど,両者の病態の共通性が推測される.そこでまずFTLD-FUS剖検脳の免疫組織化学的解析を進め,核に局在する正常なFUSと細胞質に異常蓄積したFUSとの間に蛋白質の構造に違いにもとづく反応性の違いを見いだした
|