研究概要 |
塞栓術後の脳動脈瘤の評価に1.5T、3Tという静磁場強度の違いにより拡大したパルスシークエンスのバリエーションを利用して、造影剤を使用した画像法も合わせ、コイルコンパクションや瘤径の拡大などの再塞栓術を急ぐ画像的サインを見いだすための最適なMRA撮像法を研究した。 生体外でのGDCコイルの画像解析:GDCコイルをTOF法やSE法T1強調画像、SE法T2強調画像、efgre 3D法で周波数エンコード方向と位相エンコード方向を90°入れ替えて撮像を行い、コイルとコイル周囲に出現する磁化率効果に起因すると思われる高信号のリム状構造が強いものから順にTOF法、SE法T2強調画像、SE法T1強調画像、efgre 3D法の順に出現することが明らかとなりた。またこの高信号のリム構造は周波数エンコード方向に出現した。 生体内での造影剤注入に対する信号上昇解析:造影剤総量を体重あたり1.0mmol/kgに設定し、注入速度を3.0cc/secとし、生理的食塩水での後押しを加えた信号上昇では、注入開始から25秒後に動脈内高信号ピークが現れた。動脈瘤の残存腔ではこの正常の動脈のピークより5秒ほど遅れて信号のピークが訪れた。 臨床例のMRA,DSAデータの解析:今年度の新規の脳動脈瘤塞栓術例でDSA、MRAの対比の可能な症例は15例であった。塞栓術後の再破裂例は1例であった。本例はもともと破裂動脈瘤に対する塞栓術であったこともあり、患者の状態が不良であったため、造影MRA検査を行うことができなかった。その他の経過観察症例での再破裂症例は認められなかった。
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