研究概要 |
塞栓術後の脳動脈瘤の評価に1.5T、3Tという静磁場強度の違いにより拡大したパルスシークエンスのバリエーションを利用して、造影剤を使用した画像法も合わせ、コイルコンパクションや瘤径の拡次などの再塞栓術を急ぐ画像的サインを見いだすための最適なMRA撮像法を研究した。 臨床例のMRA,DSAデータの解析について:今年度の新規の脳動脈瘤塞栓術例でDSA、MRAの対比の可能な症例は10例であった。塞栓術後の再破裂例は認めなかった。これまでに蓄積されたデータを統計解析した結果、現時点では塞栓術後の脳動脈瘤に関して、最も重要な合併症である再破裂を予想する因子として、くも膜下出血での発症であったか否か、塞栓術が完壁に行われたかどうか、動脈瘤の頚部に残存腔が認められた状態であったかどうか、初回治療時点での動脈瘤のサイズはどうであったか、その上で動脈瘤の径の増大が経過中に認められたかどうか、を挙げて検討した。統計学的なパラメータとして動脈瘤の壁の増強効果の有無を対比させ、上記の因子との有意差の検討を行った。 結果:塞栓術の完璧性、動脈瘤の頚部の残存、動脈瘤の径の増大傾向を認めること、に関して瘤壁の増強効果の有無での統計学的有意差(p<0.001)が認められた。くも膜下出血での発症であったかどうか、動脈瘤のサイズが10mmを超えるかどうか、には有意差は認められなかった。 結論:動脈瘤壁の増強効果の有無には臨床的意義があると判断する。 今後の展開:統計学的処理の行うことが難しかい消失傾向を示す動脈瘤壁の増強効果に関しての臨床的検討を行っていく。
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