研究課題/領域番号 |
21591551
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
工藤 崇 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20330300)
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研究分担者 |
中野 顯 福井大学, 医学部, 助教 (20334815)
荒川 健一郎 福井大学, 医学部, 助教 (80401967)
岡沢 秀彦 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50360813)
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キーワード | ポジトロン断層撮影 / 炭素11標識酢酸 / 心筋燃費 / エネルギー消費効率 / 心電図同期収集 |
研究概要 |
本研究の目的は心臓のエネルギー消費効率が心疾患における病態把握・予後の予測に有用であることを証明することにある。前年度において目標症例数に到達したため、本年度はデータの集計、餌析、および報告を中心としての活動となった。目的である酸素代謝と心電図同期撮影による心機能同時評価は、可能であるという結果が得られた。F-18 FDG心電図同期PETも行うことで、C-11酢酸PETとFDG PETで測定された心機能を対比検討したが、左室駆出率、拡張末期容積については良好な一致を見た。検査の成功率については、FDG PETによる評価では耐糖能異常に伴う画質不良例が認められ、検査が失敗に終わる症例が2例、画質不良による検査の信頼性低下例が1例認められたが、C-11酢酸PETではこのような画質低下による検査失敗例はなく、検査の成功率においてC-11酢酸PETによる心機能、心臓燃費評価はFDG PETに比べて優れていることが明らかとなった。これらについては、日本医学放射線学会、米国核医学会、日本核医学会において最終的な発表を行った。また、本研究にて前年度にミトユンドリア脳筋症における心筋エネルギー消費効率の異常が発見されたが、-アルギニンが代謝異常を改善する可能性が示唆されたため、この研究を脳にまで発展させ、ミトコンドリア脳筋症において脳においてもL-アルギニンの治療効果があることが見いだされ、これについてBiochim Biophys Actaにおいて論文報告がなされた。また、急性期心筋梗塞後に血流と酸素代謝・糖代謝の逆ミスマッチ現象があることも、本研究の中で発見された新たな知見である。本年度は東日本大震災とそれに伴う福島第一原発事故により、被ばくに対する国民的な関心が高まったが、本研究におけて用いられたPETも比較的高い被ばくを伴うものであるため、PET検査に伴う環境被ばくの検討を追加研究として開始した。現時点では患者の年齢に依存して、検査に携わる看護師の被ばくが増大することが明らかになっている。
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