1. 自動線量調節機構を用いたX線線量低減シミュレーションによる診断能評価 本研究課題の中心的テーマであるCT画像におけるX線量低減とその画像診断結果に対する影響を明らかにするために、昨年度までに作成したシミュレーションデータに基づく読影実験、および解析を行い、CT値のノイズレベルを標準偏差21レベルまでを低下させても高画質画像(標準偏差8.5レベル)肺結節の描出能に有意な低下が見られないことが示されたので、これを報告した。この結果を踏まえ、更なる線量低下の可能性を探る目的でより高ノイズの画像(標準偏差29レベル)を作成し、読影実験の準備を行った。 2. 自動線量調節機構を用いたX線線量低減効果の評価 自動線量調節機構は多くのCT装置に装備されているが、一定線量の従来型撮影との比較で、診断能に影響しない形でどの程度線量低下が可能であるかについて検討を行い、150mAsの固定線量撮影と比較し、自動線量調節機構の設定値を適切な値にすることにより、約80%の線量低減が、診断能に影響を及ぼさずに行える可能性が示されたのでこれを報告した。 3. 4次元画像における線量低減の可能性 最近のCTの高性能化、特に高速化により、従来から行われている静的な形態診断のみならず、病変の動態を画像化して病態を捉える目的でCTを利用する試みがなされつつある。このようなCT撮影は一定の時間の連続撮影となるため、被ばく線量が高くなりやすく、被ばく線量低減への取り組みがいっそう必要とされる。そのため、気管支の一呼吸周期中の動きの描出について、撮像パラメータ(管電流、管電圧)の選択について検討を行い、従来の胸部全体の撮像と同程度の被ばく線量で一呼吸周期の気管支の動的観察が行える可能性が示されたため、これを報告した。
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