1.CT自動線量調節機構を用いた低線量CTのシミュレーションによる診断能評価 エックス線線量低減の画像診断結果に対する影響を明らかにするために、CT装置のプロジェクションデータに、人工的ノイズを加え、そこから作成された画像を用いて充実性小結節の読影実験、および解析を行った。超低線量CTシミュレーション画像、すなわち、CT値のノイズレベル(標準偏差)29のシミュレーション画像について予備実験と解析を行った。通常画質画像(CTノイズレベル8.5)との比較で、肺結節の描出能に有意な低下がないことが示唆されたため、さらに実験対象数を増やし読影実験を開始した。 2.自動線量調節機構を用いたX線線量低減効果の評価 エックス線CT検査においてエックス線被ばく低減に有用とされている自動線量調節機構を用いた低線量撮影により得られた画像が、従来の固定mAs値の撮像と比較し診断能で劣らないかを確かめる目的で肺野、縦隔の具体的な病変の評価実験の結果を解析した。 3.肺野病変コンピュータ解析に対する線量低減の影響評価方法の検討 CTにおける病変の検出のみならず、病変の特異的診断能評価を行う目的で、種々の特徴を有した人工的な肺野病変生成の基礎的検討を行い、その結果を発表した。これにより、低線量CTで捉えにくくなる病変の特徴がどのようなものであるかについてより精密な検討を行うためのデータが得られた。 4.線量低減技術導入によるCT動態撮影の可能性の検討 従来、繰り返し撮影を含むことにより、線量が高くなるため行うことができなかったか、適応が限られていたCTでの動態解析について、CT管電流低減と管電圧低減を組み合わせることにより一呼吸周期の動的観察が可能と思われる結果が得られた。低線量CTにより得られた動態データは膨大なため、これをコンピュータ自動解析するために必要な撮影条件、画像再構成法についての検討を開始した。
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