研究課題/領域番号 |
21591563
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
吉川 武 神戸大学, 医学研究科, 特命講師 (40332788)
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研究分担者 |
大野 良治 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (30324924)
竹中 大祐 神戸大学, 医学研究科, 客員准教授 (60258233)
前田 哲雄 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (00457095)
松本 純明 神戸大学, 医学研究科, 特命講師 (60397833)
杉村 和朗 神戸大学, 医学研究科, 教授 (00136384)
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キーワード | 領域検出器型CT / 上腹部 / 臓器血流・機能測定 / 臓器血流測定ソフトウエア / 低X線量CT撮影 / 形態・機能融合診断法 |
研究概要 |
本研究では、世界初の領域検出器型CT(Area-detector CT)を肝胆膵疾患診療に用いることにより、従来の形態診断と機能診断を融合し、従来のMDCTで不可能であった新たな診断法を開発することが目的である。 平成23年度は、前年度に引き続き我々が開発した三法のアルゴリズムを用いて上腹部全体の病変や臓器の血流情報を得る解析ソフトウエアを用いて検討を行った。前年度までに判明している血流解析法間での血流解析結果の相違を詳細に検討した結果、最大傾斜法とデコンボリューション法が撮影・造影条件の影響を受けにくいことを発見し報告した。造影条件の最適化では、血流解析結果は造影剤濃度の影響を受けるものの通常使用されている濃度では問題は生じないことを報告した。低X線量CT撮影の開発では、前年度に引き続き逐次近似画像再構成法(AIDR)の機能的CT診断への応用を進め、60%の被曝低減が可能であることを見出し、報告した。さらに、東芝メディカルシステムズと共同開発した被曝線量を大幅に削減する新型逐次近似画像再構成法(AIDR3D)を血流測定に応用した結果、従来法と比較し被曝線量は約1/3に減少し、通常のCT検査に血流測定を併用可能となった。さらに 臓器機能評価では、軽度の肝機能障害では肝自体の血流よりも胃・膵・脾の血流に変化が生じ、上腹部臓器における門脈に依存した独自の血行動態変化が観察された。肝腫瘍での検討では、良性・悪性腫瘍の鑑別には平均通過時間(MTT)が最も有用であり、腫瘍周囲の正常実質でも血行動態に変化が生じ腫瘍診断に周囲組織の血流情報が有用であることを見出し、報告した。少数例での検討ではあるが、抗癌剤治療、放射線治療後には腫瘍の血流が顕著に減少し効果判定に有用であるのに加え、血管浸潤部の評価や残存臓器血流評価が可能で治療方針の決定に有用である可能性が示された。また、非侵襲的に肝全体の門脈血流量が評価可能、門脈腫瘍塞栓の治療による解除の評価が可能など、腹部の外科的治療、インターペンショナルラジオロジー的治療の方針決定と治療効果判定に有効であった。
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