研究概要 |
平成21年度は、まず購入した血管付き腹部ファントムを用いてファントム実験を行った。 まず血管内に0,2,4,6,8,12mg/mLのヨード濃度に調整したヨード水溶液を封入した後に、周囲を生理食塩水で満たした腹部ファントムを、電圧を80kVp,100kVp,120kVp,140kVpを変化させて撮影した。管電流は300mAsの一定の場合とauto mAをON(noise index 10)の場合の両者を撮影した。 各電圧のヨード溶液のCT値、画像ノイズ、Beam hardening artifactの強度を検討した。さらに低電圧(80or100kVp)および高電圧(120or140kVpの画像のフーリエ変換を行い、低電圧画像の低周波成分および高電圧画像の高周波成分を組み合わせた画像の作成が可能か試みた。 次に、低電圧CTの基礎的事項として、放射線診断医がCT読影時にどのようなサイズ・ノイズ・コントラストのobjectを病変と認識しているかを解析するため、肝実質および肝腫瘍を模倣したコンピュータシミュレーション画像を272枚作成した。この画像は、80,100,120,140kVpおよびファントム直径180,260mmの画像をシミュレーションした。これに対して、5人の放射線科医が参加して病変の辺縁の明瞭度、内部均一度に関して読影実験を行った。この結果から、各撮影条件における視覚評価値と目標とすべき画像SD値の関連を統計学的に求めた。
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