研究課題/領域番号 |
21591571
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
篠原 廣行 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 名誉教授 (90138488)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | MRI / 画像再構成 / 計算機シミュレーション / 動き補正 |
研究概要 |
研究の目的 被験者の動きを高精度に補正する3次元MRI計測法とその画像再構成法の開発. 研究成果 提案する3次元MRI計測法は,ラジアルスキャン法を基本とし,計測データを直方体に収集する.直方体に収集することで k 空間(周波数空間)の原点付近のデータが必ず存在し,直方体データのフーリエ逆変換によっておおまかな3次元再構成画像が得られる.24年度は数値ファントムとして国際的に使用されているShepp-Loganファントム,およびT2強調画像の解剖学的形状を有するT2WIイメージ(Brain Web MRI data base)を用い,提案手法による3次元動き補正法(3D補正)と通常の2次元動き補正法(2D補正)との比較を行った.| 再構成画像-数値ファントムの原画像| / 原画像の相対誤差(%)によってTransverseの3断面について比較し,Shepp-Loganファントムでは,動き補正なし,2D補正,3D補正の相対誤差はそれぞれ,58.86±9.53%,25.99±2.89%,11.38±0.27% (N = 20, p <0.01) であった.T2WI では,同様に,60.21±3.95%,45.62±2.29%,21.18±0.17% (p <0.01) であった.3次元的な動きがあると2D補正では補正が十分できず,対象断面には体軸方向に隣接する断面からの影響が顕著に出現した.その結果,頭部の内部構造が大きくぼける結果となった.一方,3D補正は隣接する断面からの影響を少なく抑えることに成功した. 2D補正の誤差は3D補正の誤差の2倍程度であるが,視覚的に2D補正は診断に適さない画質であった.3D補正の限界として,各直方体データの動きを検出するための基準画像は,動きを含む直方体データからの平均画像では無理であり,はじめの直方体データには動きがないとする必要があった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
MRIの3次元計測についての計算機シミュレーションについてはおおむね順調に進展している.一方,実機MRIへのアルゴリズムの実装は当初予定したMRI装置と研究に使用可能なMRI装置は機器メーカが異なる装置となった.当初予定したMRI装置でのパルスシーケンスについては,講習会で基礎を学んでいたが,研究に使用可能なMRI装置は機器メーカが異なるため,まったく別の開発環境でパルスシーケンスを組む必要がある.しかし,研究代表者にとってこの開発環境は大変難しく,実機MRIへのアルゴリズムの実装は不可能な状態となった.
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今後の研究の推進方策 |
実機MRIに提案する3次元データ収集法を実装することが困難な状況のため,研究はすべて計算機シミュレーション実験とし,1) 3次元計測による動き補正法の開発,2) 研究課題を遂行している中で新たに着想し2次元MRIに応用の可能性がある動き補正法として,サブセットラジアルスキャンMRIの研究を完成させる.
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