研究概要 |
個体における遺伝子発現を非侵襲的にリアルタイムで画像診断することができれば、病気の分子診断法としても、あるいは治療効果の判定法としても、従来にない画期的なツールになるものと期待され、本研究はその基礎的データを提供するものと期待される。 本年度ではまず、PET製剤用のブローブの改良を試み、また、in vivoの条件におけるブローブの安定性と安全性の向上を目指した。 PET製剤として、我々は既に^<68>GaによるsiRNAの標識には成功しているが、その標識率は70%程と^<99m>Tcに比べて低い。その理由として、^<68>Gaでは核種の抽出に塩酸を用いるため強酸性となりsiRNAのような生理的活性物質の標識には不向きであること、また、DTPAの^<68>Gaとの親和性が99mTcに比べて弱いこと,そして、^<68>Ge/^<68>Gaジェネレーターの減衰により^<68>Gaの濃度が低下し他の陽イオンが夾雑することによるものと考えられる。よって現状では標識後,siRNA精製キットにより精製するというステップが必要でありかなり煩雑であるし、また、^<68>Gaの半減期は68分と短く標識後のステップは出来る限り少ない方が望ましい。まず、我々は、68Ga標識時の強酸性条件を緩和するため、様々なバッファーを用いてpH調整を試み、標識率の改善を目指した。その結果、バッファーではAcetate buffer(0.1N,pH7.5)が最適であること、また、^<68>Ga抽出液とAcetate buffer(0.1N,pH7.5)及び標識siRNA溶液とを全てほぼ同時に混和することにより標識率が向上することが判明した。 また、放射線同位体標識siRNAのin vivoドラッグデリバリーシステムとして,当初アテロコラーゲン法を想定していたが、マウス生体内で血栓が生じるなどの重篤な副作用が生じたためアテロコラーゲン法は不向きであると思われた。
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