研究概要 |
血管新生阻害剤の血管透過性の亢進、間質圧の変化、微小血管濃度の減少などの変化を画像化することを目的として、当研究では、血管新生阻害剤の担癌患者体内での標的阻害を的確に捉える分子イメージング手法としてインテグリン特異的PETリガンドを動物腫瘍モデルをもとに確立し、治療効果の予測に使用した。本年度の研究では、昨年度に引き続き、インテグリン特異的標識PET製剤である^<68>Ga-DOTA-RGDfKの合成後、以下の三点を実施した。(1)In Vitro研究:合成薬剤の放射線化学、αv β3 binding affinityの確認、U87MG細胞およびA431細胞による培養実験を実施した。(2)In Vivo研究:U87MG細胞およびA431細胞を移植したマウスを用い最大10臓器のbiodistribution(0,10,20,60,120min、尿中・糞中の排泄(0-120min)、Tumor uptake(%ID/g,10,20,60,120min)、Tumor:Blood ratio(TBR,10,20,60,120min)を調べた。(3)画像評価研究:PETのoptimal timingを決定し、PETの集積とVEGF-A発現の関連性をWestern blot法と免疫組織化学法(蛍光二次抗体染色)にて確認した。また、(3)については追試を2回実施した。治療薬(Bevacizumab)の蛍光標識による動態画像化と投与群、プラセボ群での比較を実施した。移植腫瘍径、SUVmax (g/ml),TLG (g),%ID/gをモニターした結果いずれの指標もパラレルに相関し、ベースラインから22週の治療薬投与後にて2群間に有意差を認めた。インテグリン特異的標識PET製剤^<68>Ga-DOTA-RGDfKは正しく治療効果を表現できるツールと考えられた。この結果をもとに国際雑誌および学会への結果発表を実施する予定としている。
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