研究概要 |
21年度に学会発表をおこなった.デュアルソースCTにおけるデュアルエナジーモード(140および80kVp)を用いたすりガラス吸収値(-100から-800HU程度)病変における造影効果の評価の可能性についてのファントーム実験結果につき査読を伴う英文雑誌に投稿した.すりガラス吸収値病変に対応させるため20~50μm程度の中空樹脂を含む工芸用粘土を用い,-632.6~-617.2HU, SD:4.7HUの安定したファントームが作成可能であった.Contrast mapping imaging(CMI)のヨード値は実際のヨード造影剤濃度に対し過大に評価されたため,Liver VNCのパラメータを変更し,すりガラス吸収値病変の造影効果評価のため適切な補正を施した.この結果は,Academic Radiology誌にacceptされた(Epub 8 March 2011, Ahead of print). びまん性肺疾患への臨床応用として,一般に用いられるデュアルエナジー血流CTモードにより,全肺野に対する適応の可能性を検討し,The 5th International Workshop of Pulmonary Functional Imaging(平成23年1月18-20日淡路夢舞台国際会議場)において展示発表をおこなった.肺実質内より肺血管内の造影剤を反映する方法と考えられた. びまん性肺病変に対するCMIの応用として,当院呼吸器外科にて肺癌を中心とする肺縦隔疾患に対し手術が施行された72症例につき術前に本法を応用し症例を集積した.肺気腫30例,びまん性肺病変15例,正常肺27例におけるヨード値につき,撮影タイミング,程度および分布につき評価を加えた.造影開始後60秒後と100秒後とでは100秒後の方が評価に適していた.ヨード値低下領域は,肺気腫,びまん性肺病変いずれでも観察されたが,びまん性肺病変では,CT所見とヨード値との間に乖離が認められた.これらの知見について,現在,国際学会にsubmitしている状況である.
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