研究概要 |
デュアルソースCTにおけるデュアルエナジーモード(140および80kVp)を用いたすりガラス吸収値(-100から-800HU程度)病変における造影効果の評価の可能性についてのファントーム実験結果につき査読を伴う英文雑誌に投稿し、以下のごとくacceptされた,Kawai T,Shibamoto Y,Hara M,Arakawa T,Nagai K,Ohashi K.Can dual-energy CT evaluate contrast enhancement of ground-glassattenuation? Phantom and preliminary clinical studies. Acad Radiol 18 : 682-689, 2011.充実性病変と比較してCTが低いすりガラス吸収値病変に対応させるため20~50μm程度の中空樹脂を含む工芸用粘土を用い,-632.6~-617.2HU,SD:4.7HUの安定したファントームが作成可能であった.Contrast mapping imaging(CMI)のヨード値は実際のヨード造影剤濃度に対し過大評価されたため,充実性病変に対し用いられるLiver VNCのパラメータを変更し,すりガラス吸収値病変の造影効果評価のため適切な補正を施した.びまん性肺疾患への臨床応用として,一般に用いられるデュアルエナジー血流CTモードにより,全肺野に対する適応の可能性を検討し,The 5th International Workshop of Pulmonary Functional Imaging(平成23年1月18-20日淡路夢舞台国際会議場)において展示発表をおこなった.肺実質内より肺血管内の造影剤を反映する方法と考えられた.びまん性肺病変に対するCMIの応用として,当院呼吸器外科にて肺癌を中心とする肺縦隔疾患に対し手術が施行された72症例につき術前に本法を応用し症例を集積した.肺気腫30例,びまん性肺病変15例,正常肺27例におけるヨード値につき,撮影タイミング,程度および分布につき評価を加えた.造影開始後60秒後と100秒後とでは100秒後の方が評価に適していた.ヨード値低下領域は,肺気腫,びまん性肺病変いずれでも観察されたが,びまん性肺病変では,CT所見とヨード値との間に乖離が認められた.これらの知見について,第52回日本肺癌学会総会2011年11月3-4日大阪国際会議場およびEuropean Congress of Radiology 2012 March1-5,Austria Center Viennaにて発表し,英文雑誌に投稿準備中である.
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