我々はパーキンソン病モデルラット黒質線条体系ドパミンニューロン消失後線条体に縫線核線条体系セロトニンニューロンによるserotonergic hyperinnervationが起こり、L-DOPA投与により線条体セロトニン神経終末にドパミンがセロトニンと共存することを報告した。また同ラットにセロトニンニューロン破壊を加えた二重病変モデルにL-DOPAを投与した場合、セロトニン病変のないラットに比して線条体ドパミン放出が約20%に減少したことを報告した。これらの結果はパーキンソン病モデルラット黒質線条体系ドパミンニューロン消失後線条体では、縫線核線条体系セロトニンニューロンが代償性にL-DOPAをドパミンに合成・放出していることを示している。しかし剖検を含めヒトパーキンソン病線条体セロトニンニューロンの検討は行われていない。本研究はPETによりヒトパーキンソン病線条体セロトニン神経終末での変化を明らかにする目的で開始された。 初年度である平成21年度は、自施設でのリガンド合成の準備と経路の完成に注力した。既存のセロトニン神経終末のリガンドとしてはセロトニン1Aレセプターのリガンドである11C-WAY100635、セロトニントランスポーターのリガンドであるC-11-DASBがある。本年度は11C-DASBの合成に着手した。周辺機器及び研究体制の整備を行った。放射線医学総合研究所の研究協力者から助言、指導を得て実地見学を行った。また核医学関連学会に積極的に参加し最新の知識を習得した。薬剤合成技術者による手技の習熟により安定した薬剤合成を可能とした。当センター短寿命放射性薬剤安全管理委員会による審査を受けるべく申請書を作成した。次に倫理委員会での承諾を得るため申請書を作成した。
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