研究課題
最終年度は認知症、パーキンソニズムをきたす変性疾患や多発性硬化症など、4年間で集積したMRIデータを中心に解析を行った。MRI拡散テンソルではtract specific analysisにてターゲットの繊維をFA値、MD値を算出した。また非侵襲的脳血流測定法ASL(arterial spin labeling)の検査をpsudocontinuaus法を用いて測定した。いずれも3D volume detaを用いてVBM(voxel based morphometry)にて灰白質のvolumeの解析も行った。16例の進行性核上性麻痺Richardson syndrome (PSP-RS)と正常群と比較したところ、鉤状束のFA値が正常と比して優位に低下し、また鉤状束と下縦束のMD値が優位に上昇していた。またVBMの体積比較においては、正常と比べて前頭葉下面優位の皮質の委縮を認めた。これらの結果よりこれらの変性や委縮が認知機能の低下の原因である可能性が示唆された。また27人の多発性硬化症にて、同様に正常群とASLにて脳血流を比較・解析したところ、両側の視床が正常と比較して優位に低下していた。大脳半球の血流低下は互いに相殺され、各大脳血流低下部位がそれぞれ投射線維が集合する視床にも遠隔効果が表れて血流低下をきたし、有意差をきたしたものと思われる。またDWIの手法を用いて脳室内の温度測定も行ったが、正常群との有意差は出なかった。18例の多系統萎縮症小脳型(MSA-C)と12例の多系統萎縮症パ-キンソン型(MSA-P)と正常群にてtract specific analysisとVBMを用いてdiscriminant analysis techniquesを行ったところ、0.89の識別率を得ることができ、様々な解析値を組み合わせることで正診率向上に寄与できるものと思われる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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