研究課題/領域番号 |
21591602
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
青山 英史 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80360915)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 放射線治療 / 認知機能 / 脳腫瘍 / 拡散テンソル画像 |
研究概要 |
脳腫瘍の放射線治療晩期障害である白質脳症は痴呆用症状を引き起こし患者の生活の質(QOL)を著しく低下させる。しかしながらその早期診断は困難であり、また定量的客観指標に乏しいことが問題であった。本研究の目的は脳腫瘍放射線治療に適した日本語版認知機能バッテリー(NCB)を作成し、その妥当性の検討を行うこと、更に日本語版認知機能検査バッテリーで得られた検査値と定量的非侵襲的神経イメージングで得られた検査値との経時的比較を行うことで、白質脳症の早期診断法の確立を目指すことにある。 当研究により、平成21年度から開始された自主臨床試験「拡散強調テンソル画像による転移性脳腫瘍放射線照射後の放射線脳障害早期診断法の開発:Fractional Anisotropy(FA)と認知機能およびQOLとの関連性の検討」については、①認知機能検査と拡散強調テンソル画像の解析により、全脳照射を行った20症例の認知機能解析において治療後4か月目で低下するものの8か月目でベースラインまで改善すること、②全脳照射後の白質構築の変化は脳梁で最も大きいことなどが明らかになってきた。平成24年度は欧米の研究グループ(Response Oncology in Neuro-Oncology (RANO) group)の一員となり、当課題研究で作成した認知機能バッテリーを国際標準として提言する準備を進めてきた。さらに新規臨床研究の多施設共同施行の準備を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、放射線治療後の高次脳機能を鋭敏に評価する認知機能バッテリーは完成した。また欧米の研究グループ(Response Oncology in Neuro-Oncology (RANO) group)と共同で当バッテリ―を国際標準の指標として提言することとなり、さらにJCOG脳腫瘍グループの新規研究での採用も検討されており、予定以上の成果となった。当バッテリーを使用した臨床研究は既に終了し現在最終解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
当課題研究で作成した認知機能バッテリーの普及活動として、①Response Oncology in Neuro-Oncology (RANO) groupからの提言、②当バッテリーを使用した臨床試験の立ち上げ及び遂行、③JCOG脳腫瘍グループとの連携。 認知機能と画像診断技術の関連性の検討については、新潟大学脳研究所と共同で新たな視点での解析を検討している。これは平成25年度で終了する当課題の次を見据えた準備の一環ともなる。
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