ヒト線維肉腫由来細胞であるHT1080細胞を用いた。放射線照射後の細胞のリン酸化H2AXの蛍光免疫組織染色を行った。放射線照射後種々の時間経過後固定した細胞対象として、抗リン酸化H2AXモノクロナール抗体を1次抗体とし、さらに蛍光色素でラベルした2次抗体を用いて蛍光免疫組織染色を行った。蛍光免疫組織染色を行った標本はDAPIによりカウンターステイン後、蛍光顕微鏡を用いて観察し、1細胞あたりのリン酸化H2AXフォーカス数を測定した。形態的に見た場合、リン酸化H2AXフォーカスは核内に認められるとともに微小核内にも認められた。また、照射を行っていない細胞でもわずかながら認められた。 まず、1細胞あたりのリン酸化H2AXフォーカス数を照射後経時的に求めた。4Gyを照射した場合、照射1時間ではフォーカス数14.1(SD 6.7)であったが、3時間および6時間後には18.4(SD 7.2)、18.2(SD 7.1)と増加した。24時間後には3.6(SD 3.1)まで減少した。 次に照射24時間後のリン酸化H2AXフォーカス数と照射線量の関係を求めたところ、OGyでは1.0(SD 2.0)から3Gy 1.7(SD 1.7)、6Gy 5.2(SD 4.1)、9Gy 7.5(SD 5.5)と直線的に増加した。形態的には線量が多い方がフォーカスのサイズが大きい傾向を認めた。 本年度で安定してリン酸化H2AXフォーカスが得られるようになったので、次年度は細胞の種類を変えながら、細胞生存率とフォーカス数の関連を求めていく。
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