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2011 年度 実績報告書

過酸化水素水による低酸素癌細胞の放射線抵抗性の克服

研究課題

研究課題/領域番号 21591612
研究機関高知大学

研究代表者

刈谷 真爾  高知大学, 教育研究部・医療学系, 助教 (20314990)

キーワード癌 / 放射線 / 低酸素細胞
研究概要

0.1%酸素濃度(酸素分圧約7.6mmHg)という低酸素下で培養中のPC-3ヒト前立腺癌細胞株の培養液に0.1mMの過酸化水素水を投与し、その直後に10GyのX線を照射したところ、X線単独照射によって誘発されるアポトーシスの倍以上の細胞がアポトーシスを起こした。また、その量は20%酸素濃度(酸素分圧約150mmHg)下でのX線誘発アポトーシスと比べても倍以上の細胞がアポトーシスを起こしていた。以上の結果より、低酸素下においても過酸化水素はX線誘発アポトーシスを効果的に増強することが明らかとなった。過酸化水素水が低酸素下に存在する癌細胞の放射線誘発アポトーシスを増強するメカニズムの一つとして考えられていたのが、過酸化水素水が分解することによって発生する酸素によって酸素分圧が上昇し、癌細胞が低酸素下から脱却するのではないかというものであったが、0.1mM過酸化水素水の投与では培養液中の酸素分圧は5~7mmHg程度の上昇に留まり、培養液中の酸素分圧は13~14mmHg程度であることから、この程度の酸素分圧では低酸素状態から十分に脱却できない(低酸素状態からの脱却には少なくとも酸素分圧が30mmHg程度になっている必要がある)。従って、X線誘発アポトーシスを増強するメカニズムとしては、投与した過酸化水素水が分解して発生した酸素によって酸素分圧が上昇し癌細胞が低酸素状態から脱却することによって放射線による感受性が高まるいわゆる酸素効果よりも、過酸化水素による抗酸化酵素の不活性化とリソソーム等の細胞内小器官障害が強く関与していることが示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 過酸化水素の放射線誘発細胞死増強効果についての基礎的研究2011

    • 著者名/発表者名
      刈谷真爾
    • 学会等名
      日本放射線腫瘍学会第24回学術集会
    • 発表場所
      兵庫県神戸市神戸ポートピアホテル(招待講演)
    • 年月日
      2011-11-18
  • [学会発表] Hydrogen peroxide enhances radiation-induced apoptosis in hypoxic PC-3 prostate cancer cell line2011

    • 著者名/発表者名
      刈谷真爾
    • 学会等名
      14^<th> International Congress of Radiation research
    • 発表場所
      ワルシャワ、ポーランドコングレス・ホール
    • 年月日
      2011-08-30

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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