研究概要 |
H23年度の概要 本研究では、中咽頭癌の放射線治療効果予測における低酸素状態に関連する遺伝子群の意義について明らかにすることを目的としている。具体的には、放射線治療前に採取した腫瘍組織において、低酸素状態に関連する遺伝子群につきPCRによる遺伝子発現状況および免疫組織学的染色等の検討を行うことであり、さらにはそれらの結果と実際の放射線治療効果との相関を調べることにより、レスポンダー選択のための分子遺伝学的指標を確立することである。 H23年度においては、H21,H22年度と同様に琉球大学の治療プロトコル(当大学の倫理審査委員会で承認済み)に従って一定の治療を施行する症例においてプロスペクテイブに検体採取を継続している。具体的には、生検時に検体採取を行い、採取した検体は即座に液体窒素により凍結保存を行っている。その後の治療は、Stage I症例では放射線治療単独で70 Gy/35回、Stage II-IV症例では放射線治療70 GY/35回に化学療法(Nedaplatin, 5FU)の併用を施行している。2011年12月時点では66症例の集積が行われている。 中咽頭癌の検討を行う前に、食道癌で化学放射線療法を行った25症例について低酸素に関連する遺伝子群(HIF-1α,CA9,DEC-1,GLUT-1,VEGF,NF-κB,bFGF)における免疫組織学的染色の検討を行った。食道癌においては、HIF-1α、GLUT-1が局所制御率、生存率における有意な予後因子であることを明らかにした(Ogawa K, et al.Anticancer Res, 2011 ; Chiba I, Ogawa K, et al.Oncol Lett, 2011)。 今後は、中咽頭癌においても低酸素状態に関連する遺伝子群についてreal-time PCRと免疫組織学的染色の検討を行い、個々の遺伝子における発現状況を検討する予定である。
|