研究課題/領域番号 |
21591617
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
早川 和重 北里大学, 医学部, 教授 (70114189)
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研究分担者 |
三藤 久 北里大学, 医学部, 講師 (40260856)
蒋 世旭 北里大学, 医学部, 講師 (70276153)
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キーワード | 化学放射線療法 / シスプラチン / ビノレルビン / Gefitinib / EGFR遺伝子 / EGFR-TKI / 放射線治療 |
研究概要 |
1) 局所進行非小細胞肺癌に対して放射線治療とシスプラチン(CDDP)+ビノレルビン(VNR)の同時併用療法を施行した70例を対象として、その治療成績を検討した。病期はIIIA期26例、IIIB期44例、組織型は腺癌37例、扁平上皮癌24例、その他9例であった。化学療法3コース以上施行63例(90%)、60Gy/30回の胸部照射完遂66例(94%)であった。無再発生存期間中央値10.6か月、全生存期間中央値は22.4か月であり、EGFR遺伝子変異例には再発時にGefitinibを用いた。その結果、1年、2年、3年生存率は、94%、69%、54%であった。積極的な治療を要する放射線肺臓炎の発症例は8例(11%)のみであった。 2) 外科切除肺癌134症例を対象に、チロシンキナーゼ抑制剤(TKI)抗腫瘍薬の効果を規定するEGFR遺伝子変異のhot spotであるexon 19の欠損とexon 21のL858Rの点変異について通常PCRとdirect sequencing法を用いて検索した。その結果、(1)33症例(24.7%)に上記EGFR変異が認められ、その31症例(93.9%)は腺癌であった。(2)18症例はL858R点変異、15症例はexon 19欠損であった。また、exon 19欠損は5種類認められた。(3)Microdissectionに基づいた微量腫瘍細胞の変異分析では、11症例(73.3%)のexon 19欠損腫瘍と15症例(83.3%)のexon 21 L858R点変異腫瘍から、野生型のEGFRを持つ腫瘍細胞も検出された。以上から、EGFR変異肺癌の殆どは腺癌であり、その多く(全体の約78.8%)に野生型EGFRを持つ腫瘍細胞も混在している。従って、多くの肺癌のEGFR遺伝子変異にはHeterogeneityがあり、それはTKI抗腫瘍薬の治療効果に影響するとともに、野生型EGFRを持つTKI耐性クローン細胞に対する効果的な放射線療法の開発が重要と考えられた。
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