研究概要 |
【背景】慢性透析患者の動静脈シャント吻合部内膜肥厚は、急速な平滑筋細胞や細胞外蛋白成分の内腔への集積で重要な閉塞原因となっている。【方法と結果】動静脈シャント吻合部内膜肥厚により術後閉塞した14例の内膜肥厚組織を採取し、平滑筋細胞増殖能と移動能の判定のためPCNA, MMPsと平滑筋細胞遊走能を測定した。組織MMP2レベルは早期閉塞例で有意に上昇しMMP2依存性の平滑筋細胞遊走を認めたが、細胞増殖能と閉塞期間に相関を認めなかった。この臨床結果確認のためマウス動静脈シャントモデルを新たに作成しMMP2+/+マウスと比較してMMP2-/-マウスで有意に内膜病変形成が少ないことを証明した.またSMCを低酸素にして培養しタンパク,遺伝子レベルで評価するとIntegrinとMMP-2の発現が関連していることが示唆された.【結語】吻合部内膜肥厚による早期動静脈シャント閉塞は、MMP-2活性化による平滑筋細胞遊走が関与している。
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