研究概要 |
【研究1】TLR及びその下流分子の遺伝子多型とBuerger病の関連性を調べた。A)TLR4 gene(Asp299Gly ; Thr399lle)and TLR2 gene(Arg677Trp, Arg753Gln):他の人種集団では報告されているが、日本人サンプルでは確認できなかった。B)IFN-regulatory factor 5(IRF5)30 bp Del/Ins rs60344245多型:Buerger病においてDel/Del, Del/Ins, Ins/Ins genotypeの頻度は正常人コントロール群と有意な差が認められなかった。C)MyD88rs7744A>G多型:コントロールはおいてGG genotypeの頻度は15.9%に対しBuerger病は6.9%と有意に低かった(P=0.011, odds ratio=0.39, 95% confidence interval ; 1.13, 1.79)。したがってGG genotypeはBuerger病の抵抗性を示すことが示唆された。 【研究2】CD40及びCD40 Ligand : Buerger病患者40人及び正常人コントロール24人の血中sCD40LをELISA法で調べた。コントロールは平均0.73ng/mlに対しBuerger病は平均1.84ng/mlと有意に高かったが(P=0.001),Buerger病とコントロールのCD40Lの遺伝子多型IVS4+121A/Gの頻度は差が認められなかった。 上記結果から、Buerger病の発症において、細菌やウイルスの感染免疫と関わるTLR pathwayとの関与が示唆される。血栓形成と関わる分子であるsCD40L遺伝子はX染色体に位置するため、今後性別をマッチしたコントロールを用いて、CD40Lの遺伝子多型とBuerger病との関連性を調べる必要がある。
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