研究概要 |
閉塞性動脈硬化症による慢性動脈閉塞により発症した重症虚血肢患者では、細動脈への血行再建手術の可否がその患者のQOLを決める重要な要素となっている。しかしこのような手術においては、満足できる開存率を有する小口径の人工血管がない状況である。本研究の目的は、臨床で使用可能な小口径の人工血管を開発するための基礎的データを得ることにある。 具体的には、シート状に作成された極細繊維にメビオールジェルを浸透させ平滑筋細胞をその中で3次元培養を行い極細繊維シートを自己組織細胞で覆うことを目標とした。 昨年まで、メビオールジェル内での3次元培養を試みてきた。メビオールジェルの低温では液状、高温で固体状という性質を利用し、ジェルを低温とし粘性を下げて平滑筋細胞を混和させ3次元培養の条件を検討してきた。大伏在静脈の平滑筋細胞は3次元培養可能であった。しかし、細胞培養後、ジェルの温度を下げ、細胞層のみを取り出そうとすると細胞層がくずれてしまい、立体構造(重層構造)を得ることができなかった。そのため、培養条件(細胞数、FBS濃度)、増殖因子(PDGF,EGF等)を検討してきた。23年度から細胞の種類を増やし大伏在静脈の平滑筋細胞だけでなく、冠動脈、大動脈の平滑筋細胞を使用し同様の実験を試みることを考えている。
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