研究課題/領域番号 |
21591636
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩永 康裕 京都大学, 医学研究科, 助教 (80378661)
|
研究分担者 |
上本 伸二 京都大学, 医学研究科, 教授 (40252449)
金宗 潤 京都大学, 医学研究科, 研究員 (10511925)
|
キーワード | 膵島移植 / 免疫抑制 / 拒絶反応 / ポリフェノール / 糖尿病 / 抗原提示・認識 / 免疫カムフラージュ / GVHD |
研究概要 |
研究の目的:ポリフェノールを用いた膵島移植における新しい免疫抑制法を確立すること。 移植膵島に対する急性及び慢性の拒絶反応の問題により、現状(1)複数回の移植が必要であり、(2)移植膵島の長期生着率が低い。これら重要な問題を解決することで、1回の移植でインスリン治療からの長期間離脱が期待でき、従来の免疫抑制剤による副作用を軽減できる。 実施計画:大動物(イヌ)移植実験系を用いた移植免疫抑制効果、及びヒト膵島組織を用いた安全性の評価を実行する計画であったが、研究開始当初からEGCGのリンパ球表面抗原決定基への吸着が不安定であり、生体による代謝を受けることが示唆されたため、マウスを用いた処理法最適化に関する基礎実験を継続した。そこで (1) 吸着-離脱をより明確に解析する為、移植片対宿主反応(GVHD)を評価する方法を採用 EGCG処理したドナーリンパ球を、γ線照射により抗原認識力を剥奪された異系統レシピエントマウスに腹腔内移植し、ドナーリンパ球の抗原認識力のみを解析した結果、EGCG処理リンパ球はコントロールに比べてGVHDの反応を有意に抑えた。しかし、これらのリンパ球は、徐々にEGCGの免疫抑制効果が低下するに伴って、再度その認識能力を復活させ結果としてGVHDを再発させた。つまり、EGCGは処理直後から暫くの期間、即ち移植後初期はその免疫抑制効果をもつことが示された。これらの結果を論文にまとめ、現在投稿中である。 (2) 離脱によるEGCGの代謝ロスを補う為、移植後にEGCGを腹腔投与 パイロット試験として、EGCG処理した膵島を移植した後、さらにそのレシピエントマウスに対して継続的に、EGCG溶液を腹腔内投与した結果、あるレシピエントマウス個体では、安定的に免疫拒絶を回避できるというデータを得た。これは、EGCGが抗原認識と提示の両者を挟み撃ちに抑制した可能性が示唆される。今後更に検討を重ね、より効果の高い移植免疫抑制法としてグレードアップする予定である。
|