研究課題/領域番号 |
21591639
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
白澤 文吾 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (80444719)
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研究分担者 |
濱野 公一 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60263787)
久保 正幸 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (60420519)
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キーワード | リンパ浮腫 / 衝撃波 / リンパ管 / リンパ管再生 |
研究概要 |
二次性リンパ浮腫は外科手術等のリンパ管の機械的な切断が原因として起こる後遺症である。リンパ浮腫は患者のQOLを低下させるために社会問題となってきているが、現状では根本的な治療法はない。一方で、近年、リンパ管再生が可能であることが明らかにされてきた。さらに、リンパ管再生が血管再生と類似した過程を経ることや、低出力衝撃波治療による血管再生治療が有用であることが報告されている。こうした点を踏まえて、本研究ではリンパ管再生の誘導を治療戦略とした低出力衝撃波照射によるリンパ浮腫治療法の開発を目指す。21年度は、ウサギ耳リンパ浮腫モデルに対する低出力衝撃波治療の有効性および安全性を評価した。ウサギ(日本白色種)の耳の尖端に1% Evans blueを皮下注射して、Evans blueで標識されたリンパ管を顕微鏡下で耳の根部より結紮することで、耳リンパ浮腫モデルを作製した。次に、リンパ浮腫モデルに対して低出力衝撃波照射を行った。低出力衝撃波照射(0.09mJ/mm2、200 shots)は耳の根部を中心に行い、治療期間はモデル作製2週後から4週間(週3回)とした。なお、衝撃波治療を行わない非治療群を対照群とした。低出力衝撃波照射の効果は、耳の厚さを測定することで評価した。対照群と比較して、衝撃波照射によって耳の厚さはより薄くなっていくことが分かった。さらに、治療4週目には、衝撃波照射を行った耳の厚さは、対照群よりも有意に薄くなっていた(3.8±0.3mm vs. 4.5±0.2mm, P<0.05)。一方で、衝撃波照射に伴う副作用は認められなかった。以上の結果から、リンパ浮腫に対する低出力衝撃波治療の有効性および安全性が示唆された。
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