研究概要 |
【研究の目的】肝移植をはじめ臓器移植後は拒絶反応抑制のために免疫抑制剤の服用を一生涯必要とする.免疫抑制剤の長期的服用は,経済的な負担のみならず,悪性腫瘍の発生,易感染性,腎不全などの副作用が問題となる.移植肝は心臓や腎臓などと比較して拒絶反応が起こりにくい臓器と考えられており,免疫抑制剤を中止しても約3割に全く拒絶反応が起こらないことが知られている.本研究においては,肝移植後の安全で確実な免疫抑制剤からの離脱プロトコール作成の基礎的検討を行うことを目的とする. 【研究実施計画】(平成21年度)(研究1-1)マウス皮膚移植モデルを用いた免疫抑制剤離脱プロトコール作成に関する研究(研究1-2)免疫寛容誘導へのregulatory T cellの役割に関する検討(平成22年度以降)(研究2-1)免疫抑制剤導入時における抗CD25抗体投与の免疫抑制剤離脱への影響(研究2-2)抗CD25抗体投与下での免疫抑制剤離脱へのregulatory T cellの役割に関する検討(研究2-3)臨床肝移植での免疫抑制剤離脱に関する検討 【本年の研究実績(平成21年度)】本年は研究代表者が徳島大学から九州大学へ異動となり、動物実験の申請や施設使用許可に時間がかかるため、まず臨床肝移植(九州大学では平成22年3月までに354例の生体肝移植、2例の脳死肝移植を実施)でのデータ解析を行った。免疫抑制剤の長期使用による副作用(高血圧、糖尿病、高脂血症など)の発生頻度を調査し、これを学会発表した。また、段階的に免疫抑制剤を減量させている患者において、リンパ球混合培養検査を実施し、安全に減量可能かどうかの指標になるかを検討している。また、動物実験では皮膚移植モデルを作成し抗体作成や予備実験を行っている。
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