研究課題/領域番号 |
21591643
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
岡田 浩晋 高知大学, 教育研究部・医療学系, 助教 (10444770)
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研究分担者 |
山本 正樹 高知大学, 教育研究部・医療学系, 助教 (20437718)
山口 登喜夫 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (30134745)
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キーワード | 全身性炎症反応症候群 / 酸化ビリルビン / バイオピリン / 活性酸素 / 窒素ラジカル |
研究概要 |
全身性炎症反応症候群(Systemic Inflammatory Response Syndrome ; SIRS)は、敗血症、重症感染が関与する全身臓器障害と認識される。その機序に、過剰産生される酸化ストレスの関与が報告されている。本研究では、SIRSにおける酸化ストレスの影響、その生体内での動態、組織局在を調べることにより、SIRS治療を考えるものである。生体に存在する酸化ビリルビン(バイオピリン)は酸化ストレスを反映し、評価も簡便であり、臨床使用可能と考え、本研究に用いた。 (1)敗血症モデル(ラット)での標的臓器内酸化ストレス解析: ラットにLPS (Lipopolysaccharide)腹腔内投与し、SIRSモデルを作成、尿中バイオピリンを測定した。LPS投与後10時間、24時間に2相性の尿中バイオピリンの増加を認めた。免疫染色では1)肺胞隔壁内に浸潤する単核細胞、2)腎尿細管細胞、3)肝細胞にバイオピリン発現を認めた。組織ホモジネート作成から、組織内バイオピリン濃度を測定した結果、肺ではコントロールの4.2倍(p<0.05)に増加を認めた。SIRSでの肺障害に酸化ストレスが関与し、尿中バイオピリンはその動態を一部反映するため、尿バイオピリンは全身性酸化ストレス評価に有用性を持つと考えられる。 (2)SIRSによる肺障害への一酸化窒素ラジカルの関与: SIRSモデルにおいて、尿中窒素ラジカル(NO2/NO3)を測定、コントロールと比較し、有意な増加を認めた。従来、SIRSにおける肺障害を好中球エラスターゼ阻害により抑制する治療が行われる。それ意外に、NO2/NO3がSIRSでの酸化ストレス障害に関与することを証明できれば、直接的にNO合成を抑制することでSIRSでの肺障害抑制を行うことができる。現在、NO合成酵素阻害薬(L-NMMA)投与による試験を遂行している。
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