研究課題
われわれは、消化器癌において自己複製能と多分化能を有する癌細胞、すなわち癌幹細胞様細胞が存在することを初めて明らかにした。癌は癌幹細胞とそれから分化した癌細胞によって構成され、そのため治療による感受性が同一患者の癌細胞内でも異なる。癌幹細胞が遠隔転移をすれば同様に治療抵抗性な腫瘍を形成する。すなわち、癌治療において、癌幹細胞を治療することができれば、再発・転移を含めて難治性癌をコントロールできる可能性がある。<臨床検体を用いた癌幹細胞の同定>昨年度研究成果により、新規癌幹細胞マーカーとしてCD13を同定し報告した。細胞株細胞を用いた研究は終了した。そこで、臨床検体を用いた、癌幹細胞の同定を行った。十分なインフォームドコンセントを得た後に、患者手術検体を用いた解析を行った。患者癌摘出部より薄切切片を作製し、上記実験で明らかとなった候補分子の免疫染色を行った結果、大腸癌クリプト底部にCD13の発現陽性細胞を認めた。また、摘出標本をコラゲナーゼ処理し、細胞成分をFACSを用いてソーティングを行い、標的とする細胞成分を単離を試みたが、抗体の性質が本解析に不適合だったため、抽出はなされなかった。<癌幹細を胞特異的に破壊する抗腫瘍免疫能の誘導>FACSでの精密な分離ができなかったために、より精密な解析は困難であった。しかしながらbulkyに分離した癌幹細胞を高濃度の抗癌剤処理を行い、平成22年度に実施したガンマデルタT細胞刺激樹状細胞と、古典的樹状細胞による抗原獲得・提示能力の検討をin vivoで実施した。MH129細胞(C3Hマウス由来、肝細胞株)を用いて、癌幹細胞のみ、非癌幹細胞のみ、また同時投与したマウスに対する抗腫瘍効果解析を行った。癌細胞投与前にワクチンとして投与する予防モデルにて、腫瘍抑制効果を発揮した。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 14件) 学会発表 (4件)
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