ESでの分化誘導技術をもとに我々は世界で初めてiPS細胞から蠕動運動能を有する臓器としての腸管の分化誘導に成功した。この腸管を免疫学的、形態学的に検討すると、粘膜、平滑筋、ICC、神経細胞などの腸管特異的な三胚葉系細胞で構成されており、まさに生体内と同様の構造を示す腸管であることが分かった。iPS細胞から臓器を分化誘導したこの研究は世界で初めての成果であり、以下に示すごとく、論文や学会での成果を報告している。iPS細胞から臓器としての腸管が分化誘導できたということは、従来のES細胞研究とは異なり、疾患・患者由来の体細胞からiPS細胞を樹立することにより、疾患特異的で免疫拒絶の回避した腸管作成また、研究テーマに掲げる神経堤幹細胞の誘導にも取り掛かる予定である。iPS細胞から腸管が分化誘導できたことと脂肪由来幹細胞(ADSC)との融合することにより、研究の目的である新しい幹細胞移植の第一歩となるため、今後も本研究を進める予定である。
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