(1)薬剤代謝に関与する遺伝子多型解析 臓器移植後の免疫抑制剤の主体であるカルシニューリン阻害剤の代謝酵素であるP450のサブタイプCYP2C19の遺伝子多型を解析し、合わせて、細胞膜での薬剤の能動輸送に関与するMDR1(multidrug registance)遺伝子多型の解析を前年度と同様に引き続き行った。 (2)至適免疫抑制剤の選択 個々の腎移植患者の免疫抑制剤感受性試験として、当初予定して前年度に本研究で開始した蛍光色素CFSEを用いる方法が安定した結果を得られなかったことから、米国でコマーシャルベースて市販されているImmuKnowに変更し、ImmuKnowのシステムを用いて定量的に解析した。この解析は、当院臨床検査科に設置されている蛍光測定装置を用いて行った。このシステムが実際の患者で免疫抑制状態を定量的に安定して測定出来ることを確認した。本年度は、本システムの導入にあたり、蛍光測定装置などの測定条件の決定に時間を要した。 (3)至適血中濃度の決定 (2)の方法により決定された至適免疫抑制剤の至適濃度を決定するため、拒絶反応を抑制するのに適切な免疫抑制剤の濃度が推測でき、至適血中濃度を決定に結びつくものと考えた。しかし、前記、ImmuKnowを用いた免疫抑制状態の定量的測定の開始に時間を要し、健常者で測定したものの、患者での検討には至らず、次年度の研究に引き継ぐこととした。 (4)至適な免疫抑制剤の組み合わせの決定 当初、本年度に施行する予定であったが、前記同様、次年度の研究に引き継ぐこととした。
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