研究課題/領域番号 |
21591653
|
研究機関 | 独立行政法人国立病院機構水戸医療センター(臨床研究部) |
研究代表者 |
湯沢 賢治 独立行政法人 国立病院機構 水戸医療センター, 移植医療研究室, 室長 (10240160)
|
研究分担者 |
本間 真人 独立行政法人国立病院機構水戸医療センター, 人間総合科学研究科, 准教授 (90199589)
|
キーワード | 臓器移植 / 免疫抑制 / オーダーメイド医療 / 腎臓移植 / 薬剤代謝 / 遺伝子多型 |
研究概要 |
従来の画一的であった腎移植の免疫抑制療法を、患者ごとに異なる免疫抑制剤の至適血中濃度や至適組み合わせ、更に、年齢や移植後の年数を加味した、個々の患者に最適な免疫抑制剤投与法を確立するための、基礎的な検討を行うことを目的とした。この検討をもとに、腎移植における免疫抑制療法を、オーダーメイド医療として確立することを、最終的な目的とした。腎移植後の免疫抑制剤の主体であるカルシニューリン阻害剤の代謝酵素であるP450のサブタイプCYP2C19の遺伝子多型と、細胞膜での薬剤の能動輸送に関与するMDR1(multidrug registance)の遺伝子多型の解析を既に行っている腎移植後の外来患者60名を対象とした。対象患者の免疫抑制状態は、ImmuKnowを用いて免疫応答性を定量的に解析した。免疫抑制剤血中濃度とCYP2C19、MDR1の遺伝子型から、Concentration/Doseの関係を解析したが、明確な相関は得られなかった。遺伝子多型、血中濃度、免疫抑制状態についての検討では、ImmuKnowの測定結果から、免疫抑制剤の至適濃度を検討したが、測定結果にバラツキが多く、有意な結果は得られなかった。至適な免疫抑制剤の組み合わせを検討するため、種々に免疫抑制剤の組み合わせの患者の免疫応答性を解析したが、有意な結果は得られなかった。また、経年的、実年齢による免疫応答性の変化を解析したが、有意な結果は得られなかった。これまでの研究では、遺伝子多型とConcentration/Doseについて相関が得られていたが、今回は得られなかったことは、今回の対象とした患者が移植後4年以上を経過していることが1つの要因と考えられた。他に免疫応答性について有意な結果が得られなかったのは、ImmuKnowの測定自体の問題も考えられるが、同様に移植後数年を経た患者であることも一因と考えられた。腎移植における免疫抑制療法を、オーダーメイド医療として確立するためには、対象患者を増やし、遺伝子多型の解析を増やし、免疫抑制状態測定の精度を上げ、さらなる検討が必要と思われた。
|