22年度はまず、大動物膵からの膵島分離の効率を向上させるために、まず、膵島分離時の膵管内注入液の検討を行った。その結果、従来から臨床応用されているET-Kyoto液よりUW液の方が、膵臓保存に優れ、より多くの膵島収量が得られることが確認された。また得られた膵島のviabilityもUW液を膵管内に注入した時の方が優れていた。 さらに昨年度末から行っているビーグル犬を用いた大動物におけるPBSCsの分離を細胞分離装置COBE spectraにより行った。得られた幹細胞はCD34陽性であることがFACSの解析により確認され、大動物モデルからのPBSCs分離が可能であることが明らかとなった。さらに従来から当研究室でラット膵島移植モデルにおいて有用性を報告しているMSCsを犬から分離、培養することも同時に行った。この犬MSCsは10継代を超えてもなお紡錘形細胞が非常に早い増殖能を有していた。また5代目細胞のFACSによる解析ではCD34陰性で、脂肪・骨芽細胞への分化誘導実験においてはそれぞれ、脂肪・骨芽細胞への分化が確認された。 これら得られたPBSCsおよびMSCsはラットMSCs同様に移植膵島周囲の血管新生に寄与するかどうかを腎被膜下移植を行い検討中である。移植膵島周囲の血管新生に十分な寄与が確認されたのちに、犬膵島自家移植モデルにおいてPBSCs同時移植群とMSCs同時移植群のどちらが優れるかを今後比較検討する予定である。
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