研究課題/領域番号 |
21591660
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
長田 拓哉 富山大学, 大学病院, 講師 (40303242)
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研究分担者 |
塚田 一博 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 教授 (90171967)
嶋田 裕 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 准教授 (30216072)
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キーワード | 乳癌細胞 / iPS誘導因子 / Nanog / KLF4 |
研究概要 |
【はじめに】iPS細胞はOct314、Sox2、Klf-4、c-Myc、Nanog等の遺伝子導入により発現する多能性幹細胞である。今回乳癌の治療効果予測に関する因子としてiPS細胞誘導因子に着目し、ヒト乳癌組織、および培養細胞(MCF-7)におけるiPS細胞誘導因子の発現とその動態に関する研究を行った。 【方法】当科で施行された原発乳癌切除症例(100例)について、切除組織より作成された組織アレイを用いて、各iPS誘導因子の発現解析を行った。また生存(OS)・無再発生存(DFS)率の比較検討を行った。【結果】100症例における各iPS誘導因子の発現頻度は、Oct-4(20%)、Sox2(34%)、KIF-4(44%)、C-Myc(45%)、Nanog(9%)であり、KLF-4、C-Mycの発現率が高く、Nanog、Oct-4の発現は低い傾向が認められた。各因子の発現と閉経状況、ホルモンレセプター、Her2発現、病期、および組織型の間に明らかな相関は認められなかった。Nanogの高発現群はOS(p=0.033)、DFS(p=0.004)ともに有意に不良であった。一方、Klf-4の高発現群はDFSが有意に良好であった(p=0.028)。一方、培養細胞であるMCF7ではNanog陰性、Klf-4陽性の結果であった。MCF7細胞にKLF4のsi-RNAを導入し、KLF4の発現を抑制したところ、MCF7細胞の増殖能が増加した。【考察】Nanog、Klf-4はそれぞれ独立した予後判定マーカーになり得ると考えられた。
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